ベトナムで現地法人をつくるには?それぞれの会社形態の違いと特徴

ベトナムで現地法人をつくるには?それぞれの会社形態の違いと特徴

ベトナムにおける進出(会社)形態

ベトナムでの法人設立について解説します。

ベトナムで事業を行う場合は、基本的に現地に拠点を置くことが必要です。そのための方法はいくつかあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。まずは特徴を把握し、御社の事業内容にあった方法を選択することが事業スタートの第一歩となります。

日系企業がベトナムへ進出する際に採用される一般的な事業形態は「現地法人」「支店」「駐在員事務」の3つの事業形態になりますが、それぞれ解説いたします。

1. 現地法人(1人有限会社/2人以上有限会社/株式会社)
2. 支店
3. 駐在員事務所

現地法人

まずベトナムの現地法人は「有限会社」「株式会社」に分かれます。
さらに「有限会社」は、出資者の人数(最大50人まで)によって「1人有限会社」か、「2人以上有限会社」に分類されます。
「株式会社」の設立については後述しますが、時間的コストと費用が嵩むためベトナムで株式発行や上場を目指すケースでない限り「有限会社」を設立するのが一般的です。

会社形態出資者数特徴
1人有限会社1人(個人または組織)個人または組織による出資が1名による100%独資の会社形態(出資者はベトナム人か外国人)
2人以上有限会社2人〜50名(個人または組織)外資規制分野への参入、日本企業同士や現地企業との業務・資本提携の合弁の際に採用される会社形態
株式会社3人以上(上限なし)将来的に株式の発行や上場を目指す場合や、現地企業との合弁の際に採用される会社形態

1人有限会社

日本企業がベトナムに進出する際の会社形態として、もっとも採用されている形態がこの1人有限会社です。日本の親会社や日本人の代表が出資者となり100%資本を出資する形態か、ベトナム人の代表が出資者となり100%資本を出資する形態かを選択します。
独資による会社形態のため、他の形態よりも設立が容易です。また、後々2人以上有限会社や株式会社への変更も可能です。

2人以上有限会社

外資規制分野に参入する場合(現地企業の資本が51%以上必要)や、日本企業同士や現地企業との間で業務提携や資本提携を行う際に採用される会社形態です。

主なメリットとして、
・外資規制分野に参入できる
・現地企業の協力を得ることで事業展開がスピーディーに行える
・事業展開のノウハウが素早く入手・構築できる
・資本負担を軽減できる
などが挙げられますが、
・経営判断が鈍る、または複雑になる
・日本の強みや特色が活かせない
・合弁先企業とのさまざまなトラブル
などのデメリットもあります。

株式会社

株式発行が可能なため合弁を行う際の形態として採用されることがあります。ただし、設立は有限会社と比較して非常に複雑で手間とコストを要する上に、取締役会、監査役会、株主総会の設置も必要となり会社運営も非常に煩雑になります。
合弁先企業との契約、マネージメント、事業運営方針などについても協議を重ねて精緻に決定する必要があるため、採用の要否についてはよく検討した方が良いでしょう。

出資形態

上述した通り、出資形態により「独資」と「合弁」の大きくふたつに分けられ、進出する企業にもっとも採用されている1人有限会社においても、ベトナム人による100%出資か日本人による100%出資かで設立から運営に至るまで様々な面でメリットとデメリットがあります。

2人以上有限会社や株式会社の合弁の場合は、双方の強みと弱みを補完してスピーディーに事業展開が行えるメリットがある反面、精緻な契約内容や関係性構築が必要になり独資よりも多大な労力を要するケースもあるため、どのようなトラブルが想定されるかよく検討を行った上で決定される方が良いでしょう。

出資形態資本比率メリットデメリット
独資ベトナム人100%100%ローカル企業となるため様々な規制や許認可取得のハードルが外資系に比べて低くく、またコストもかからないため事業運営が比較的容易。信頼できるベトナム人パートナーが必要で経営や金銭においてトラブルになる可能性がある。また利益を国外へ出せないため国内に再投資が必要。
日本人100%日本人による経営が可能で、税引後利益の国外送金が可能。外資企業として許認可や会計税務におけるチェックが厳しく、会社運営においてローカル企業よりも手間とコストを要する。
合弁法定資本比率による、または企業間の合意による双方の企業の強みと弱みを補完してスピーディーな事業展開が可能で資本負担も軽減できる。運営管理が難しく、双方の強みが活かせずに事業展開のスピードが鈍化したり、合弁先企業とトラブルに発展する可能性がある。

最初に会社形態を検討する際に以下の2点、
・事業は外資規制の対象か否か、
・出資はベトナム人100%か日本人100%のどちらか、
が焦点となります。

ベトナムの外資規制については規制業種と禁止業種に分かれています。詳しくはジェトロが公開しているベトナムの「外資に関する規制」の資料をご参照ください。

法定資本比率(資本金に関する規制)についても、詳しくはジェトロが公開しているベトナムの「法定資本が必要となる投資分野、外資系企業に対する出資比率の制限」の資料をご参照ください。

支店

ベトナムにおける「支店」という事業形態は、基本的に制限がなく駐在員事務所とは異なり、現地法人同様に販売活動や営業活動が可能になります。また現地法人ではないため資本や資産は本社と共有であり、決算も本社の仕訳に組み入れられるため、親会社への損金参入が可能です。

ただし、ベトナムは特定の業種に対してのみ支店の設置を認めています。現在外国企業が支店を設立することができる事業・分野は以下の通りです。
・リーガルサービス
・コンピューターに関するサービス及びそれに関連するサービス
・マネジメントコンサルティングサービス
・マネジメントコンサルティングに関連するサービス
・建設サービス及びそれに関連するサービス
・商業フランチャイズ・チェーンサービス
・金融サービス(保険、銀行、その他の金融サービス及び証券サービスを含む)

駐在員事務所

ベトナムにおける「駐在員事務所」という事業形態は、市場調査や投資機会の促進を目的にした現地の情報収集が主な活動内容となっており、販売活動や営業活動は認められていません。親会社と同一の法人格とみなされ、決算も本社の仕訳に組み入れられるため、親会社への損金参入が可能です。設立から5年間有効で、期間の延長は認められています。

いくつか条件として、
・駐在員事務所が設立できる企業は本社が1年以上経営している
・駐在員事務所の所長は原則としてベトナムに居住
・所長が許可なく30日を超えてベトナムを離れた場合、新たな所長を任命する必要がある
・所長はベトナム企業や支店の法定代表者を兼ねることはできない
などについて注意が必要です。

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