ベトナムの賃貸物件の特徴と契約時に注意するべき点

ベトナムの賃貸物件の特徴と契約時に注意するべき点

ベトナムの賃貸物件の特徴と契約時に注意するべき点

ベトナムでビジネスを開始するにあたりおそらく最初にベトナムの洗礼を浴びることになるのが賃貸物件契約です。
これは物件の構造や設備、商習慣、行政認可、ベトナム人オーナーの性格などが相まって日本の常識や慣習から考えると理解できない点が多く発生します。大なり小なり不動産トラブルはベトナムビジネスには付き物ですので、長期的に安全にビジネスを行うために慎重かつ柔軟な対応が求められます。

賃貸物件の特徴

ベトナムの賃貸物件の多くは基本的に住宅用として建てられており、区画借りではなく一棟をそのまま借りることが多くあります。
建物自体は間口4M、奥行き16M〜20Mのサイズが多く、面積は1フロアあたりおおよそ70平米/20坪で4階建ての物件が多いことが特徴です。

1階のみ商業スペースとして貸し出している物件もありますが、数はあまり多くありません。また2階のみ借りたい場合などは1階を通って上がることがほとんどですので、使用用途は限定されます。

賃貸契約の注意点

・賃料の上昇

ベトナムの場合、賃料が年々上昇するという特徴があります。
契約年数によりますが、2〜3年は賃料据え置き、その後10%上乗せまたは再交渉や、段階的に上がっていくパターンなどいくつかあります。投資回収を考えた場合、契約時に契約年数と賃料の上昇率は入念に確認し交渉しなければなりません。

・契約の更新

契約更新ができる旨は基本的に契約書に記載されています。ただしオーナーの都合次第で拒否されることもあり、それに対抗する手段はありません。そのため、なるべく5年〜10年と契約年数を長くしたり、投資回収するための事業プランを検討するなどの対応が必要になります。

・オーナーとの面談

物件を決める上で判断材料としてオーナーに直接会えるかどうかは重要です。オーナーが郊外や地方に暮らしている場合があり、すべてエージェント経由でやり取りする場合は少し注意が必要です。第三者を通すことで後々言った言わない、了承したしていないなどのトラブルに発展することが考えられるためです。
また、オーナー自身の人柄を知ることも非常に重要です。明らかにクセのありそうなオーナーの場合後で約束を反故にしたり難癖をつけてくることも考えられます。同時にこちらの人柄も知ってもらい関係性を作ることで交渉などをやりやすくする工夫に繋げます。
可能であれば物件所有証明書の確認も行った方がいいでしょう。

・オーナーが転貸オーナーの場合

複数の物件を押さえ転貸することでビジネスにしている方が、特に人気エリアには多くいます。転貸オーナーが了承していたことを実際のオーナーが拒否してくるケースや、オーナー同士のトラブルの煽りを受けて強制退去を余儀なくされるケースなどがあります。
転貸オーナーでも信頼できそうか、実際のオーナーとも会えるかなどいくつか注意が必要です。

・インフラトラブル

給排水管や電気配線などのインフラ設備が劣化していたり、躯体の造りが古い場合に停電や漏水などの問題が発生します。
内見時においては発見することは難しく、内装施工が開始されてから発覚する場合がほとんどです。その際に修繕費用をどちらが負担するかは契約時に明確にしなければなりません。
また乾季の時期(11月〜4月)に契約する場合、雨季(5月〜10月)を想定した水漏れ、雨漏りなどを考慮することも必要です。

・建築の認可トラブル

内装施工が開始され造作を変更する場合、管轄の公安に建築変更の認可申請を行なわなければならないことがあります。その際、既存物件に未認可箇所などが発見されると罰金が発生します。その修繕や罰金をどちらが負担するのか契約に盛り込んでおいた方がいいでしょう。

・口約束は可能な限り契約書に盛り込む

よくあるのは賃貸契約時には造作を変更していいと言っていたのに、いざ施工となりオーナー確認が必要となった際に変更NGと言い出すケースです。
また原状回復は不要と言っていたのに造作の変更の際に原状回復が必要と言い出すケースもあります。

・補償の明記

契約年数を満了せず何らかの事情で強制退去となった場合にデポジットの返却はもちろんですが、開業のために投資した分を補償してもらう条項を契約書に明記しましょう。
過去に実際にあったケースでは、
– 契約したオーナーがいつの間にか第三者に物件を譲渡しており新オーナーが契約内容を引き継いでおらず退去を要請された
– 実際のオーナーと転貸オーナーがトラブルになり契約違反を理由に退去を要請された
– 物件が銀行融資の担保になっており返済が滞ったため差し押さえられ退去となった
– 土地の借地権が切れ(または更新ができず)、退去を余儀なくされた
などです。

・物件の使用用途をしっかりと伝える

内見時にしっかりと物件の使用用途を伝え、契約書にも明記しましょう。オフィスとして使用すると思っていたのに飲食店はNGです、などと言われないようにしましょう。

・賃料にVAT(付加価値税)が含まれているか

VAT(付加価値税)とは日本の消費税に相当するもので、提示された賃料にVATが含まれている(内税)か、含まれていない(外税)かは契約前に確認しましょう。
外税の場合どちらが負担するのかも明確にしましょう。※原則的には借主負担となります。
賃料を経費計上する際にはレッドインボイス(正式な領収書/証憑)が必要になりますが、そちらの発行可否も確認します。オーナーは個人事業主の場合も多く、レッドインボイスが発行できないことやそもそも不動産ライセンスを保有していなケースもあります。
またオーナーの自宅の一部を賃貸する場合、光熱費をどのように負担するのかも事前に確認が必要です。

さいごに

賃貸契約に関しては日本と違い貸主の方が圧倒的に強く優位なのがベトナムです。仮に裁判をしても勝訴できるかわかりませんし、弁済されるかもわかりません。裁判を行うコストと時間の方が高くつくこともあり、その場合は泣き寝入りせざるを得ません。裁判に発展するほどのトラブルは決して多くはありませんが、大なり小なり不動産トラブルはベトナムビジネスには付き物です。あらかじめ注意するべき点を理解しておくことでトラブルの種は事前に解消しておきましょう。

良い物件と出会えるかは言ってしまえば運です。また散々不安にさせる内容を記述しましたが良いオーナーさんもたくさんいらっしゃいます。たくさんの物件を見て回ると自然と物件やオーナーの良し悪しも分かってきます。法律や常識よりも人情や繋がりが重視される傾向があるのもベトナムですので、まずはオーナーさんと密にコミュニケーションを取りながら良好な関係性を築いていきましょう。

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