ベトナム人スタッフ採用時の判断基準とトラブルにならないために気をつけたいこと

ベトナム人スタッフ採用時の判断基準とトラブルにならないために気をつけたいこと

スタッフ採用時の判断基準【10のポイント】

ベトナム人スタッフの採用を行う際に私が気をつけているポイントをご紹介します。あくまで個人的な経験則に基づく判断基準であり、偏見もあるかと思いますがこれから採用を行う方の何か参考になれば幸いです。これまでエステ、スパ、ネイル、まつげエクステ、ラーメン、バー、居酒屋、弊社オフィススタッフの面接を行ってきました。業種により採用基準は変わると思いますが、個人的には経験や能力よりも性格や人柄を重視して採用するようにしています。日本の価値観や商習慣が通用しないことを前提に、面接に訪れた方の「素直さ」「真面目さ」「正確さ」「笑顔」などの観点から伸び代や一緒に働きやすいかどうかを判断しています。

  • 採用時の判断基準【10のポイント】
    ・性別
    ・出身地
    ・最終学歴
    ・語学力
    ・職歴、経験
    ・日本への渡航歴および留学経験
    ・家庭環境
    ・履歴書の出来栄え
    ・人柄や身なり
    ・時間に対する意識

性別

ホーチミンに関しては相対的に男性よりも女性の方がよく働く印象があります。暑い地域の男性は緩いと一般的に言われますが、女性は勉強、育児、仕事、家庭と色んなことをこなし、よく働きます。ただ多くのスタッフを統率する立場となると男性の方が優位性を発揮する印象があります。マメで気の利く男性であれば組織の管理に向いているかもしれません。
女性は幅広く平均的に優秀で、男性は頭ひとつ抜けて優秀か、平均を下回るかのどちらかの印象を持っています。

出身地

出身地は北部/中部/南部か、南部でもホーチミンかメコンデルタ地域(ホーチミンより以南の地域)か。
ベトナムは北部/中部/南部と大きく分けて3つの地域がありますが、出身地域によって性格が異なる傾向があります。詳細は割愛しますが、北部の子は規律規範と本音・建前があり、南部は大らかで裏表がなく感情表現がストレートです。
個人的にはマネージャークラスを面接する際は北部出身で南部大学出身の応募者に少し惹かれます。
またホーチミンで採用活動をするとホーチミンが地元の子と、メコンデルタ地域から出稼ぎに来ている子が多くいますが、家庭環境の違いが大きく南部人の中でも金銭感覚や常識などに違いがあります。

最終学歴

サービス業(飲食店や美容サロン)の面接では、一般スタッフの場合最終学歴が高卒の子が多く面接に訪れます。まれに大学を卒業しているか、日本への留学経験がある(技能実習ではない)子も来ますが、能力や業務指示に対する理解に差があるように感じます。そのため私の場合は大学生または大卒者を優先的な採用基準にしています。

語学力

日本語能力を測る基準にJLPT(日本語技能検定)がありますが、
N1>N2>N3>N4の順にレベルがあります。
N1は日本人でも試験で満点を取るのが難しいと言われ、ストレスなく会話ができるレベルです。
N3は何とか会話が成立するレベルのため円滑に仕事を進めるには難しいレベルです。
N2はその中間と思っていただいて良いかと思います。
また顧客ターゲットによっては英語の能力についても確認を行います。人気エリアに出店する場合は外国人の利用も多くありますので、最低限の英語力があった方が望ましいです。

職歴、経験

職歴が業務に一致していることが望ましいのは当然ですが、経験値の高さが裏目に働く場合がありますので若干注意が必要です。自分が習得してきたやり方にこだわり会社のルールややり方に従わなかったり、自分がやりやすいように勝手にオペレーションを変えたり、他のスタッフに対して高圧的な態度を取ったりなど、組織に悪影響を及ぼす可能性を考慮し人柄をよく観察します。

日本への渡航歴および留学経験

日本へ行ったことがあるパターンとしては留学/就労/技能実習/観光の4つがあります。
留学生として日本へ行く場合は奨学金を利用していたり親族から借金などをしていることが多いですが、両方とも相応の努力や覚悟を伴うため経験があるだけで評価に値します。ただし留学はおよそ2年〜3年ほどが一般的ですが、留学していたのに会話が拙い場合、勉学よりもアルバイトを優先していた可能性が高く、そうした子はあまり能力が高くない印象があります。他方JLPTのN1/N2を取得し会話も流暢でアルバイト経験もしっかりしている子は、非常に真面目で努力家の傾向がありマネージャー候補になりやすく実際によく働いてくれます。
元技能実習生でも同様にJLPTのN1/N2を保有していると勉学もしっかりと両立させたと言え評価に値します。

家庭環境

日本ではこの手の質問はNGかもしれませんがベトナムではまだ咎められるような状況ではありません。ベトナムは家族との関係が日本人の感覚以上に近く、また家族からの影響も非常に大きいので相手の置かれている環境・状況や性格を理解する目的で質問をすることがあります。
実家はどこにあり、現在も両親は健在か、今後結婚の予定があるか、扶養している家族はいるかなどです。家庭の事情を理由に頻繁に遅刻・早退をしたり、突然退職したり、給与の前借りを要求してくることはよくあります。

履歴書の出来栄え

飲食店や美容サロンの一般スタッフの面接において履歴書を持参してくることは稀です。履歴書を持ってきた場合それだけで評価しますが、マネージャー候補は必須にしています。
その際は履歴書の出来映えをチェックします。
ポイントは学歴および職歴の時系列が合っているか、行間や行頭が整理されてるか、日本語の文法は正しいか、などです。
明らかに雑または適当さを感じる出来映えの場合、そこから相手の性格を推し量ります。
履歴書自体も内容も正確に綺麗に作成されている場合、他の面接者よりも評価できる基準になります。

人柄や身なり

基本的に我々の常識や価値観は通用しないと考え、相手の性格や人間性の理解になるべく努めるようにしています。言葉が通じない、考え方が違う、それでもこれから一緒に働きながら同じ価値観や目標を共有できるか?仲間としてこの子と一緒に働けるか?と考えながら面接しています。
そのため、「素直さ」「真面目さ」「正確さ」「笑顔や愛嬌」などを見るようにしています。
また面接に汚い服装やサンダルで来たりした場合は面接は早々に切り上げます。

時間に対する意識

時間通りに来たか、何分前に来たかは評価の一つです。
ホーチミンの場合雨季の時期があり天候次第では遅れてもやむなし。という状況があるため、いつどのように連絡してきたかを評価します。
また場合によりますが、10分までの遅刻は大目に見ることもあります。
10分を超えて遅刻してきた場合はどのような理由でも面接は取りやめます。

採用前にしっかりと合意しておくべきポイント

ベトナム人スタッフは給与や手当、休みや労働時間については非常にシビアでハッキリと文句も言いますし要求もしてきます。後々トラブルになりやすいことですので、採用前に明確に相手に伝え合意をしておいた方がよいでしょう。

合意しておくべきポイントについて以下のブログにまとめましたので、合わせてご覧ください。
【ブログ】ベトナム人スタッフの採用前にしっかりと合意しておくべきポイント

さいごに

最近では円安の影響から日本で稼いでも仕送りがまともにできないことや、インフレで可処分所得が減っていることを理由に日本から帰国してくるベトナム人たちが増えています。そのため日本語話者人材の供給が多く(買い手市場)、JLPT(日本語技能検定)のトップであるN1やN2保有者の給与相場は少し落ちています。
また日本の飲食店でアルバイトを経験した子も多く、日本人からすると日本語が話せて教育の手間が省けて比較的安く採用ができるため、採用活動はラッキーな状況になっています。

経済力が衰退している日本にまだ魅力を感じてくれていたり、漫画やアニメなどの日本文化が好きで日本語を勉強したいからとの理由で応募して来てくれる子もたくさんいてとても有難いです。日本では人材不足が続いていますが、ベトナムで人材に困ることはありません。

ベトナム人の方々は親日で優しい子が多く、コミュニケーションや指導を通じて日本の価値観を理解し成長していく姿は感謝と感動を覚えることすらあります。価値観や商習慣の違いからスタッフ管理に難しさを感じている経営者たちは非常に多いですが、ベトナムで事業を行う以上はベトナムの文化や価値観にも寄り添い、ベトナムに何が還元できるのかを考えてスタッフと向き合い事業に取り組むべきだと考えています。

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