ベトナムと聞くと東南アジアのどこか、発展途上国、ベトナム戦争、アオザイ、日本で犯罪が増えている外国人、など偏ったイメージを持つ方がまだ多いかもしれませんが、ホーチミン市を訪れた方々はその発展ぶりに一様に驚かれます。
ベトナムのGDPは2000年からの20年間で約9倍になり、東南アジアの中でも経済発展が目覚ましい国です。2023年には人口が1億人を突破し、若く豊富な労働力と拡大し続ける消費市場がベトナム経済の大きな魅力です。地理的・文化的にも日本に近く、親日国家としても有名で日系企業も多く進出しており、日本製品はベトナム人にとって身近で信頼できるブランドになっています。またドラえもんや名探偵コナンなどのアニメや最近では呪術廻戦やチェーンソーマンなどの漫画の人気も高く、コスプレやサブカル系イベントにも多くのベトナム人が訪れています。
物理的、精神的に日本に近いことから日本語を学習するベトナム人も多くいるため、都市部などでは日本語が通じることが多くあります。
一般概要
国 名 | ベトナム社会主義共和国 | 政体は共産党の一党政治、経済は市場経済を導入 |
人 口 | 1億400 万人 | 2023年越統計総局調べ。2040年代には日本の人口を追い抜くという試算 |
首 都 | ハノイ | 国内最大の都市はホーチミン。ホーチミン市のGDPはベトナム全体の3分の1に相当 |
面 積 | 33万1346 ㎢ | 日本から九州を除いた面積に相当 |
行政区分 | 63 省市 | 5つの中央政府直轄市と、58省に分かれる |
言 語 | ベトナム語 | アルファベット表記。6つの声調から成る |
通 貨 | ベトナムドン | 1 円 = 167.8 ドン ※2024年1月16日現在 |
民 族 | 54 民族 | キン族が9割近くを占め、53の少数民族の多くは中部高原地域や北部山岳地帯に居住 |
宗 教 | 仏教(大乗仏教)が多い | 政府は仏教、キリスト教、イスラム教、ベトナムの新興宗教であるカオダイ教とホアハオ教の6つを認めている |
平均年齢 | 33.3 歳 | 日本は48.4歳。ベトナムは2039年まで人口ボーナス期が継続する見込み |
平均寿命 | 73.6 歳 | 女性:76.1歳、男性:71.1歳 |
平均給与 | 660 万ドン/月、7920 万ドン/年 | 2022年ジェトロ調べ。日本円換算で月収4万円、年収48万円ほど |
時 差 | 2 時間 | 日本が正午12時の時にベトナムは午前10時 |
政治体制
社会主義、共産党と聞いて「中国や北朝鮮のような国」と勘違いしている人も多いようですが、ベトナムは政治体制こそ共産党による一党支配ですが、その内容は中国や北朝鮮と大きく異なり、独裁で強権的な統治というより国民に寄り添う形で統治を行っています。国民の監視や抑圧、宗教や思想の弾圧、少数民族への同化政策など激しいものはなく、緩い規制や検閲に留めています。経済活動も自由市場主義のため、普通に暮らしている限り不自由さを感じることはありません。ただし、投票による政権交代がなく公安権力の影響は強いため、汚職や賄賂などがいまだに横行している点はネガティブな要素です。
政 体 | 社会主義共和国 | 共産党の一党政治 |
政権党 | 共産党 | 党員は約510万人。集団指導体制を用いており、中国や北朝鮮のようなトップは存在しない |
元 首 | ヴォー・ヴァン・トゥオン国家主席 | 共産党の実質的なトップは政治4役(党書記長、国家主席、首相、国会議長)。党書記長が最高指導者となっているが独裁的な権力は持っていない |
経済
ベトナムは外資系企業の製造拠点および労働力確保として発展してきました。お隣の中国は「世界の工場」と呼ばれ多くの企業が進出していましたが、人件費向上や米中貿易摩擦などのリスクから中国以外の国に拠点を移す「チャイナプラスワン」というトレンドが生まれ、ベトナムはその受け皿として人気を集めました。
近年では経済発展による所得や生活水準の向上から、労働市場としての魅力に加えて消費市場としての魅力も注目を集めており、サービス業特に日系飲食店などの進出が急増し、ユニクロ、無印良品、ニトリなどの小売業の進出も目立っています。
主要産業 | サービス業(41.33%)、鉱工業・建築業(38.26%)、農林水産業(11.88%) | |
GDP | 約4,138億米ドル | 2022年IMF推計値。日本の約10分の1 |
一人当たりGDP | 4,110米ドル | 2022年越統計総局。日本の約8分の1 |
経済成長率 | 8.02% | 2022年越統計総局。日本は1.2% |
物価上昇率 | 3.15% | 2022年越統計総局。日本は3.0% |
文化
2023 年 | 18,949 人(10,063 人) | △13.2%(△3.9%) |
2022 年 | 21,819 人(10,475 人) | △1.6%(△2.7%) |
2021 年 | 22,185 人(10,768 人) | △5.3%(△13.7%) |
2020 年 | 23,437 人(12,481 人) | +1.2%(+4.6%) |
2019 年 | 23,148 人(11,921 人) | +4.6%(+3.0%) |
カッコ内はホーチミン市の在留邦人数。%はすべて前年対比の割合